明日から現場で試せる、飲食店の販売促進の小さな工夫

明日から現場で試せる、飲食店の販売促進の小さな工夫


私が現場に入っていた頃も、今相談を受けていても、「販促やらなきゃ」と思った瞬間に、急に大きな企画を考え始めて手が止まる場面をよく見ます。忙しい営業の合間に、ポスターを作り直して、SNSも毎日更新して、イベントも打って…となると、結局どれも中途半端になって、疲れだけ残ることもあります。

現場で使いやすいのは、派手な施策より「今日の店内で起きていること」をそのまま販促に変えるやり方だったりします。ここでは、明日からでも試しやすい小さな打ち手を、私が見てきた具体的な場面と一緒にまとめます。

## 1. 「おすすめ」が伝わらない日は、忙しい日だったりします

ピーク中、ホールがバタついていて、卓に行くたびに「とりあえず生2つで」で会話が終わる。厨房もチケットが溜まり始めて、追加の声掛けどころじゃない。こういう日は、どれだけ良いおすすめがあっても、口頭では伝わりにくいことがあります。私も何度も「言いたいのに言えない」日を経験しました。

そんな時に効きやすいのが、“言わなくても伝わる位置”におすすめを置くことです。たとえば、席に着いて最初に手に取るメニューの1ページ目の端に、1行だけ「今日の推し」を入れる。あるいは、ドリンクメニューの上の余白に「最初の一杯にこれが出やすいです」と一言添える。文章は長いと読まれにくいので、店側の気持ちを短く置いておく感じです。

黒板やPOPも同じで、内容より「どこにあるか」で勝負が決まる場面があります。入口の外の黒板が立派でも、店内で追加注文を考える瞬間に目に入らなければ機会を逃しやすい。追加が出やすい導線(テーブル上、伝票クリップの近く、レジ前の待ち位置)に、1つだけ置いてみるのも一つです。

## 2. メニューの“迷い”が長いと、注文数が伸びないことがあります

相談を受けていると、「うちのメニュー、選べるようにしたい」と思って種類を増やした結果、逆に出数が散ってしまう話をよく聞きます。お客様が悪いわけではなく、現場では“迷っている時間が長いほど、とりあえず無難”に着地しやすい印象があります。忙しい店内だと、店員側も待てずに「お決まりですか?」が早くなる。結果、定番だけが動いて終わる日もあります。

ここで試しやすいのが、「選ばせる」より「決めやすくする」工夫です。たとえば、メニューの中に“店のおすすめ3点”を置き、名前だけでなく「どういう人向けか」を短く書く。「さっぱり」「しっかり」「つまみながら」のように、味ではなくシーンで分けると、選ぶスピードが上がることがあります。

もう一つは、セットの言い方です。現場では「この料理、単品だと出にくいけど、ドリンクと並べると出る」ことがあります。メニューに「これとこれ、相性いいです」を1セットだけ固定で置いておく。全部にやると情報量が増えるので、まずは利益が取りやすい、オペレーションが増えない組み合わせから1つ、という進め方が現実的でした。

## 3. “追加注文の一言”は、マニュアルよりタイミングが効きます

販促というとSNSやチラシの話になりがちですが、店内の追加注文は、いまだに強いです。ただ、現場では「声掛けしよう」と決めても、ピーク中は忘れたり、同じ言葉を繰り返して疲れたりします。私も、言い方を統一しようとして逆に固くなって、ぎこちなくなったことがあります。

うまくいきやすいのは、タイミングを固定することでした。たとえば、
– 1杯目が半分減った瞬間
– 料理の1皿目を下げた瞬間
– お会計を意識する前の、ラストオーダーより少し前
このあたりは「次、どうしようかな」が頭に浮かびやすい時間帯です。

言葉も、売り込みっぽくしないほうが自然に出ます。たとえば「次、飲み物どうします?」だけでも十分な日がありますし、「今、これがよく出てます」くらいの温度感でも動くことがあります。スタッフのキャラによって言いやすい形が違うので、全員同じにせず「一人ひとつ言いやすいフレーズ」を持ってもらう店もありました。

## 4. 明日やるなら「一箇所だけ変える」が続きやすいです

販促は、続いた店が勝ちやすい印象があります。ただ現場は、雨の日もあれば、人が急に休む日もある。理想通りに回らないのが当たり前なので、最初から完璧を狙うと折れやすいです。

明日からなら、次のどれか一つだけ変えるのがやりやすいかもしれません。
– 「入口」ではなく「追加注文が生まれる場所」におすすめを置く
– メニューに“おすすめ3つ”だけ、シーンで選べる短い言葉を足す
– 追加注文の声掛けを、タイミングだけ固定してみる

やってみた後は、売上の大きな数字よりも、「あの卓で追加が出たのは何がきっかけだったか」「忙しい日にできたか」を振り返るほうが、次の改善につながることが多いです。現場で起きた出来事が、そのまま販促のヒントになる。私が24年見てきた中で、いちばん再現性が高かったのは、そこでした。


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