飲食店経営
梅雨を乗り切り、夏商戦で利益を確保する数字の立て方
食材費が上がった今だからこそ、売上目標を設定する順番を変える必要があります。土用の丑まで2ヶ月。逆算して「いくら売ればいいのか」を決める時期です。
現状:梅雨時期の集客減と原価上昇の二重苦
梅雨時期は飲食店にとって、売上が低迷しやすい季節です。「外出を控える客が増える」「雨の日は来店数が落ちる」という直感的な悩みは、多くのオーナーが経験しています。
ところが、ここに食材費の上昇が重なると、問題は複雑になります。「売上は減っているのに、原価だけ上がる」という最悪のシナリオです。つい「メニューの値上げ」や「食材の質を落とす」という選択肢を検討し始めるのは、ここからです。
しかし、応急処置的な対応では、夏商戦(土用の丑)に向けた本来の戦略が立てられません。必要なのは、原価が上がった「今の数字」から逆算して、現実的な売上目標を設定することです。
問題の構造
売上目標が曖昧
「前年比○%アップ」程度の目標では、原価上昇下での施策が定まりません
その結果
利益が圧迫される
値上げか品質低下か、という二者択一の窮地に追い込まれます
本当の課題
粗利益額で逆算する
いくらの粗利が必要か、そのために何円売るべきかを先に決める
3ステップ:粗利益額から売上目標を決める
原価が上がった今こそ、逆算の順番が重要です。以下の3ステップで、現実的な売上目標を立てます。
必要な粗利益額を決める
6月の家賃、人件費、光熱費、支払い利息など、固定費をすべて計算します。その上で「今月の純利益目標」を決めます。例:固定費80万円+純利益目標20万円=粗利益目標100万円。
これが「いくら必要か」という絶対値になります。一律の原価率では出ません。
メニュー別の粗利を把握する
全メニュー(食材費を含む)の粗利益額を計算します。ここで初めて「この料理は粗利1,000円、あの料理は粗利500円」という差が見えます。原価が上がった今、この差はさらに広がっています。
土用の丑向けにウナギ関連メニューを追加する場合、そのメニューの粗利益額を先に決めておくことが重要です。
売上目標に変換する
粗利益目標100万円を達成するには、メニュー構成から「平均粗利率」を計算し、必要な売上を逆算します。例:平均粗利率50%の場合、売上目標は200万円です。
この売上200万円が「6月の現実的な目標」になります。梅雨で集客が減る分、客単価UP施策やドリンク販売強化で補う、という施策が初めて見える化されます。
土用の丑に向けた具体的な施策
売上目標が決まったら、夏商戦への準備が始まります。
梅雨を乗り切るメニュー
売上が低迷しやすい梅雨は「客数を増やす」より「既存客の客単価を上げる」方が現実的です。ドリンク注文率を上げる、セット化により高粗利メニューを勧める。これらは全て、メニュー別粗利額が見えているから決定できます。
土用の丑向けのメニュー設計
ウナギは一般的に原価が高く、粗利率は低くなりやすい食材です。しかし「土用の丑=ウナギ」という顧客の心理を活用して、セット販売や高単価メニュー化することで、粗利益額を確保できます。粗利益額思考なら、無理な値上げではなく「付加価値の提供」で利益を守る戦略が見えてきます。
明日から実行:チェックリスト
今月の売上目標を決める前に、確認すること
- 6月の固定費(家賃、人件費、光熱費、支払い利息)を全て洗い出したか
- 今月の純利益目標(または最低ラインの粗利益額)を決めたか
- 全メニューの現在の食材費を確認し、粗利益額を計算したか
- メニュー構成から、平均粗利率を計算したか
- 必要な粗利益額 ÷ 平均粗利率 で、売上目標を逆算したか
まとめ
梅雨を乗り切り、夏商戦で利益を確保するには、売上目標を「感覚」で決めてはいけません。原価が上がった今だからこそ、粗利益額から逆算する習慣が、経営の安定性を大きく左右します。
明日のアクション:今月1ヶ月の固定費をすべて洗い出し、「いくらの粗利益が必要か」を計算してください。そこから全てが始まります。

