Sotogofunコラム
夏休み前、一人で回す店長が気づかない「人材育成の落とし穴」
飲食店経営者・店長向け実務コラム
2026年6月12日 飲食店専門コンサルタント 小島
梅雨時期の客数減は「逆算のチャンス」。今仕掛ける人材育成が、連休の繁忙期を変える
梅雨時期は雨の日が多く、来店客数が落ちる。その間、多くの店長は「静かだから楽」と勘違いします。しかし実はこの期間が、夏の繁忙期に向けた最後の育成チャンスです。あなたが一人で回している現状を放置したまま、繁忙期に突入すると、オペレーション崩壊と原価率悪化につながります。
問題
店長一人で仕込み・接客・会計を回している
結果
繁忙期に人為的ミス増加、原価率上昇
理由
スタッフへの権限委譲・仕事分解ができていない
なぜ梅雨時期の「静か」が危機信号なのか
客数が減るということは、スタッフのミスカバーをしやすい環境です。つまり、現在の問題を見落としやすくなる、ということ。
たとえば:
現場で使えるチェックポイント
- 仕込みの手順書がない状態で「やってくれている」と思い込んでいる
- 発注ルールが店長の頭の中だけにあり、スタッフが加減を判断できない
- 接客時の商品説明が一貫しておらず、オーダー時点で原価増加している
- 盛り付けのバラつきが大きいが、「客数が少ないから気にならない」で放置している
これらは、客数が多くなると一気に顕在化します。土用の丑直前に気づいても、育成に間に合いません。
「梅雨対策」ではなく「チームビルディング期間」として使う
梅雨時期(今から夏休みまで、約1ヶ月半)は、以下の3つを仕込む黄金期間です:
01 / 業務の「見える化」と権限委譲
仕込みの手順書、盛り付けルール、発注基準を書き出す。スタッフに「なぜそうするのか」を説明し、判断基準を渡す。
実行例:仕込みを「火曜日のメニューA〜C は誰が何をする」と決め、その人の責任を明確にする
02 / 原価管理の「共有」
月の原価率を公開し、「なぜ上がるのか」をスタッフと一緒に分析する。盛り付け量、食材ロス、発注のバラつきを数字で見える化。
実行例:先月の「コース別原価」を掲示し、目標値との差を埋める工夫をスタッフに投げかける
03 / 接客・商品説明の「統一」
メニューの説明方法、おすすめの伝え方、客単価アップの声かけを統一する。スタッフ全員が同じ「導線」で客を誘導できる状態を作る。
実行例:客単価を上げるために、〆メニューの説明タイミングを決め、全スタッフで練習する
梅雨時期のチームビルディング、実行チェックリスト
今週中に着手すべき項目(優先度順)
現場で使えるチェックポイント
- ☐ 仕込み業務の「誰が、何を、どこまで」を書き出し、スタッフに共有する
- ☐ 先月の月別原価率をスタッフ目線で「なぜか」を分析する会を30分設ける
- ☐ 客単価アップのための〆メニュー提案ルールを決め、全スタッフで1日1回は練習
- ☐ 発注ルール(数量・タイミング・判断基準)をまとめ、スタッフ2名に権限委譲テストを開始
- ☐ 盛り付けのバラつきを「写真で記録」し、目標との差を数値化する
業態別の注意点:夏メニュー開発も同時進行で
夏休みに向けて、メニュー開発も梅雨中に終わらせる必要があります。ただし、ここで落としやすい罠があります。
新メニューを作る際、食材原価の上昇に気づかずに原価率が跳ね上がる、という失敗が多発します。梅雨時期は原価が上昇しやすい季節(野菜・水産物の生育時期)だからです。
メニュー開発のときは、必ず「このメニューが売れた場合の月間原価増」を概算で出してから、価格設定をしてください。そのプロセスをスタッフと一緒にやることで、彼ら・彼女らが「原価とは何か」を理解し始めます。
まとめ:今から土用の丑までが「最後の育成期間」
梅雨時期の客足減少を「運が悪い」と諦めてはいけません。それは「チームビルディングの最後のチャンス」です。
現在、「自分がいないと回らない」と感じているなら、スタッフへの権限委譲・仕事の見える化・原価共有ができていない証拠です。その状態で繁忙期に突入すると、人為的ミスが急増し、結果として原価率が悪化します。
明日から:仕込み業務の「誰が何をするか」を書き出し、1名のスタッフに試験的に権限を渡してください。
詳しくはこちら
現場で使えるチェックポイント
- 認識のズレは大きなロス。お客様との距離を適正に保つためには?
- 飲食店が客単価アップを狙う時すべきこと
- 目隠しで崖っぷちを歩かないために棚卸で現状確認しよう
詳しくはこちら
客数減少時はターゲット層の離客を特に注視し、経営方針の見直しが必要
弁当容器は黒色を選ぶことで、様々なメニューに対応でき、オペレーションの効率化が実現できる
売上だけでABC分析で商品削除を判断するのは危険。店舗コンセプトに必要な商品の見極めが重要

