Sotogofunコラム
メニュー数が多いほど儲かる、は幻想。夏こそ「引き算経営」で原価と疲弊を減らそう
飲食店経営者・店長向け実務コラム
お盆前後の厨房は、いつも以上に人手が足りません。
そんな時期に季節メニューを増やすと、仕込みも発注も複雑になります。
売上を増やすつもりが、原価管理の乱れやスタッフの疲れにつながることもあります。
今は足すより、何を減らすかを考えたい時期です。
なぜ「メニュー数が多い」は危険なのか
売上を上げたいと思えば、新しい季節メニューを出したくなります。
ただ、その一品が増えるだけで、仕込み、発注、スタッフへ教える手順まで増えます。
仕込み時間の増加
新メニューの準備工数が加算され、営業前の準備が延びる
原価率の悪化
少量仕入れで単価が上がり、欠品のリスクで食材ロスも増える
スタッフの決定疲労
オーダー時にメニュー判断が増え、手順ミスや注文ミスが起きやすくなる
熱中症リスク
仕込みが増えれば厨房時間が延び、夏の体力消耗が加速する
メニューを増やせば、そのまま売上が増えるとは限りません。
原価が上がり、スタッフが疲れ、ミスが増えることもあります。
人手が薄くなる8月は、特に表面化しやすい問題です。
「引き算メニュー」で守れる3つのこと
夏は、提供メニューを絞り、一品あたりの提供回数を増やす方法があります。
対策01:原価管理を正常化する
メニュー数を減らすと、食材の発注量が大きくなり、単価が下がります。
また「この商品は毎日出す」と決定すれば、食材ロスも抑えやすくなります。
結果として、原価率の改善につながるケースもあります。
対策02:仕込み時間を短縮し、スタッフを守る
毎日同じメニュー、同じ手順なら、仕込みは自動化に近づきます。
疲弊が減り、ピーク時にお客様への対応に専念できます。
過去の記事「ピーク時にやらないことを決めておこう」で触れた通り、事前準備の質が営業時間の品質を決めるのです。
対策03:スタッフのミスを減らし、お客様の満足度を上げる
メニュー数が少なければ、スタッフが覚えることも減ります。
注文の聞き間違いや、厨房への伝達ミスも起こりにくくなります。
お客様への対応にも余裕が生まれます。
実践:「季節メニュー」ではなく「季節メイン化」で売上を作る
季節メニューを増やしたときの仕込みが不安なら、その感覚は無視しない方がいいでしょう。
今月から実行するチェックリスト
現場で使えるチェックポイント
- 現在のメニュー数を数えて、売上貢献度の低い品を3つ特定する
- 夏の定番メニュー(冷麺、冷たい一品など)を選び、それを「毎日の顔」に昇格させる
- その定番メニューを「1日10食」など具体的目標を立てて毎日仕込む
- 削除したメニューの仕込み時間を測定し、スタッフの負荷減を可視化する
- 原価率を計算し、前月との差分を把握する
季節メニューを一品増やすのではなく、その一品を今月の軸にします。
冷やし担々麺を夏の主力にするなら、まずは毎日20食など、現場に合う目標を決めます。
そこまで決めると、仕込みの手順を揃えやすくなります。
発注量も読みやすくなり、スタッフの負担も減らせます。
熱中症対策とセットで考える
お盆のスタッフ不足時に仕込み時間が増えるのは、熱中症リスクの増加と直結します。
メニュー数を減らし、厨房時間を短縮することは、単なる経営効率化ではなく、スタッフの健康管理でもあります。
朝の仕込みを30分短縮できれば、その分を水分補給や休息に使えます。
その30分が、夏場の現場では大きな余裕になります。
まとめ:明日やることは「1メニューの選定」
メニューを増やすのは簡単です。
ただ、売上、スタッフ、原価を同時に守るなら、減らす判断も必要です。
今週は、次の一つから始めてみてください。
今月の「軸となるメニュー」を1つ決め、明日から毎日の目標売上を設定する
その一品に仕込みを集中させれば、原価を追いやすくなり、スタッフの負担も抑えられます。
お客様への対応にも余裕が生まれます。
一品に絞るだけでも、発注と仕込みはかなり整理しやすくなります。
詳しくはこちら
一度の提供で効率化すると客が急かされ、お店の価値が損なわれる。提供回数を増やす工夫が満足度と売上を向上させる。
ピーク時はお客様への対応に専念し、無関係な業務は事前準備で排除する
テイクアウト・デリバリー・通販の導入で、来店客減少をカバーする必要がある

