固定費から逃げたら、梅雨時期の赤字は止まらない

Sotogofunコラム

固定費から逃げたら、梅雨時期の赤字は止まらない

飲食店経営者・店長向け実務コラム

2026年06月25日 | 飲食店経営の数字戦略

梅雨時期に「値上げしたいけど怖い」と感じたら、まず固定費を見つめ直そう

梅雨時期の集客減、食材原価の上昇、夏に向けたメニュー開発費——こうした複数の圧迫要因が重なると、経営者の心理は「値上げで何とかしよう」に傾きやすいものです。ですが、その前に立ち止まる必要があります。顧客満足度を損なわずに利益を守るには、「値上げ」ではなく「固定費の優先順位付け」という地道な作業が欠かせません。

現状認識

「売上が減ったら値上げ」という発想が危険な理由

優先順位

固定費削減は「捨てる順番」を決めることから始まる

実行

売上改善と固定費削減の並行実行で初めて効果が出る

売上減少時の「値上げ判断」がなぜ危険なのか

梅雨時期の集客減は一時的です。その一時的な売上減に反応して値上げをすると、3つの連鎖が起きます。

客単価を上げる → 顧客単価の上昇に伴い、新規顧客の来店ハードルが上がる → リピート率が低下 → さらに売上が減る。この負のループは、季節変動から永続的な経営悪化に変わります。

特に梅雨時期は「サイクル的な集客減」であり、夏に向けた回復が見込める期間です。この段階での値上げは「短期的な視点」に支配された判断になりやすいのです。

数字だけを追求すると商品品質や顧客満足度が低下します。値上げも同じ原理です。短期的な利益確保が、長期的な顧客流出につながる可能性をあなたは見落としていないでしょうか。

固定費削減の優先順位表:「何を残すか」で経営方針が決まる

固定費削減は「やみくもに削る」のではなく、「何を残すか」を決めることが本質です。以下の優先順位で、あなたの店舗に必要な固定費を明確にしましょう。

01 優先度:必須

人件費(営業に直結するスタッフ)

調理担当、ホールスタッフなど、直接的に売上・顧客体験を作るポジション。ここを削ると品質と営業時間に直結し、売上が加速度的に低下します。

02 優先度:中程度

店舗維持費(家賃、水道光熱費、通信費)

短期的には削りにくい費目ですが、季節変動に応じた調整(営業時間短縮による光熱費削減、配送業者の変更など)は可能です。固定契約内で「何を減らすか」を交渉します。

03 優先度:検討対象

広告費、サブスク(POS、SNS管理ツール、定期購読サービス)

売上に直結しない、または代替可能な費目。月額費用が積み重なっているケースが多いため、現在の運用効果を数字で測定してから判断します。

梅雨時期に実行する、固定費見直しの具体的な手順

固定費削減と同時に、売上改善を進めることが重要です。以下の手順で並行実行します。

ステップ1:固定費リストの棚卸し(今週中)

通帳から過去3ヶ月の全ての引き落としを確認し、固定費と変動費を分類します。サブスク・契約サービスはすべてリストアップします。実は「忘れていた引き落とし」が存在することは珍しくありません。

ステップ2:売上への影響度を5段階で判定

リストアップした固定費ごとに、「この費用を0にしたら売上が何%減少するか」を数字で見積もります。参考記事『売上に振り回されない経営を実現するための指標』で述べたように、客数という基礎数字を軸に判断することで、判定精度が大幅に上がります。

ステップ3:季節限定削減と永続削減を分ける

梅雨時期(6月~7月)の一時的な集客減に対応するなら、「広告費は月額5,000円削減、無駄な人件費を1時間短縮」といった柔軟な対応が有効です。一方、効果が測定できないサブスクは永続削減の候補になります。

ステップ4:売上改善施策を同時に実行

固定費を削った分だけ売上は減ります。営業時間を短縮したなら、短い時間での客単価を上げる。広告費を削ったなら、Googleビジネスプロフィールの口コミ返信(24時間以内が効果的)で無料集客を強化する。こうした「引き算と足し算」の並行実行が、赤字脱出の鍵になります。

現場で即使えるチェックリスト

☐過去3ヶ月の全ての月額引き落としを見える化した

☐営業・売上に直結しないサブスクを3つ以上特定できた

☐固定費削減目標額(月額5,000円?10,000円?)を数字で決めた

☐固定費削減と同時に、売上改善施策(口コミ返信強化、メニュー改良など)を1つ以上リストアップした

まとめ:「値上げしたいけど怖い」と感じたら、それは経営判断の好機

値上げしたいという心理は「利益が足りない」という赤信号です。ですがその信号を見つめる角度を変えると、「売上の中身を改善する好機」に変わります。

固定費削減は「何を捨てるか」ではなく「何を残して、売上に転換するか」という戦略的な作業です。梅雨時期は季節変動なので、固定費を見直し、売上改善施策を同時に実行する絶好のタイミングです。

明日やることは1つ:今月の通帳を開いて、月額の引き落としをすべて書き出す。その中から「売上に直結していない費目」を3つ特定することから始めましょう。

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現場で使えるチェックポイント

  • 客単価アップの秘訣:注文数から見えてくるお店の改善点

詳しくはこちら

【客単価アップの秘訣】注文数から見えてくるお店の改善点

注文数の数字を分析することで、お店の改善点を特定し客単価向上につなげることができる

売上に振り回されない経営を実現するための指標

売上ではなく客数を重視することで、店舗の真の健全性と将来性を正しく判断できる

たった1%の改善がお店にもたらす大きな変化

どんぶり勘定から脱却し、細かい数字管理による改善が利益向上の鍵

固定費から逃げたら、梅雨時期の赤字は止まらない

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