早期離職の温床は「採用がゴール」になった瞬間にできやすい

早期離職の温床は「採用がゴール」になった瞬間にできやすい

「応募が来ない」を直しても、人手不足が終わらないのはなぜか?

相談の入口は「応募が来ないんです」が多いです。求人媒体の選び方、原稿の見せ方、写真、時給の出し方……話題はたくさんあります。
ただ、現場を一緒に見ていくと、もう一段奥に「入った人が残らない」という構造が隠れていることがあります。

忙しい店ほど、採用が決まった日はホッとするんですよね。面接の連絡が途切れていた時期が長いほど、「これでシフトが埋まる」と思いたくなる。ところが初出勤の日、ピーク前の仕込みが押していて、ホールは呼び鈴が鳴り、レジも並んでいる。新人さんに「とりあえず付いてきて」と言うしかない。
その日の帰り道に、本人の中で「思っていたのと違う」が育ってしまう。こういう場面、現場では起きがちです。

ここでつらいのは、店側がサボっているわけでも、本人が弱いわけでもなくて、「採用原稿で描いた店」と「初日〜2週間の現実」がズレると、離職の火種になりやすい点です。採用だけ直しても、離職でまた穴が空き、ずっと人手不足が続く。そんな循環を何度も見てきました。

大事なのは「入ってもらう」より「働き続けてもらう」に置くと見えること

「しっかり働いてるってことがやっぱ目的…やめにくいように」
形式を整えるのが目的になった瞬間、肝心の“続くかどうか”から目が離れやすい。求人も同じで、「応募を増やすために良く見せる」が前に出ると、入社後ギャップが起きやすくなります。

私が相談の場で判断軸にするのはシンプルで、「その原稿、入社後2週間の現場と一致しているか」です。
一致していれば、応募が減る場合もあります。ただ、そのぶん入ってからの「聞いてない」「話が違う」が減りやすい。採用の手間・教育の手間・シフトの穴埋めの手間を思うと、ここを先に整えておく価値が残ることが多いです。

弱みの開示と「対応策」をセットで書く

やり方としては、大きく2つだけで進むことがあります。

1つ目は、原稿の段階で「本質的な弱み」を1つだけ開示して、対応策とセットにすることです。
たとえば(仮の例ですが)「メニューが多くて最初は覚えることが多い」ですとか、「ピークは忙しくて声が飛び交う」みたいな、入ってから隠しようがない現実ってありますよね。そこを“なかったこと”にせず、代わりに「暗記しなくていいようにスマホ入力で確認できる」「手順は研修で順番にやる」と、店側が用意している支えを書いておく。
弱み単体だと不安を増すが、対応策まで一緒に書くと「それならやれそう」に変わることがあります。

2つ目は、入社後の流れを先に見せて、現場でも一致させることです。議事録では「最初の3日はオーダーを取らない」みたいに、最初の数日を具体的に示す話が出ていました。
この「最初の3日」「最初の2週間」みたいな単位は、現場に落とし込みやすいことが多いです。初日からいきなり全部やらせない設計があるだけで、新人さんの息が継ぎやすくなりますし、教える側も“今日どこまでやるか”が揃います。

ここは、文章を書いて終わりではなくて、原稿に書いた2週間の流れを、実際の受け入れと合わせるところまでがセットになります。

向かない条件と、効果の確かめ方(明日からの一歩)

注意点もあります。議事録にもある通り、受け入れ体制が原稿の約束と違うと、かえって不信を招きやすいです。
「最初の3日はオーダーを取らない」と書いたのに、初日にいきなり満席で「ごめん、出ちゃって」となる。こうなると、本人の中では“忙しかったから仕方ない”ではなく、“最初から話が違う”に見えやすい。店が悪いというより、現場はそうなりがちなんですが、だからこそ書く内容は「守れる範囲」に絞るのが現実的です。

効果の確かめ方は、派手な数字で追いかけなくても大丈夫で、まずは「入社後2週間のズレが起きていないか」を見ます。原稿に書いた流れが、現場で再現できたか。初日の終わりに新人さんが戸惑っていないか。教える側がバラバラの指示になっていないか。そこが揃ってくると、「思っていたのと違う」が起きにくくなります。

明日からの一歩としては、求人原稿を開いて、「弱み+対応策」を1組だけ書けるかどうかを見てみるのが軽いです。そして、書いた内容を現場で守れるかを、店長やリーダーとすり合わせる。
採用はゴールじゃなく入口、という言い回しはよくありますが、現場目線で言うと「入社後2週間まで含めて、やっと採用が完了する」くらいの感覚のほうが、離職の温床を潰しやすいです。


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