飲食店が10月に最優先で取り組むべきは、忘年会コースの決定と告知です。
ただし、今までと同じことを繰り返しても、売上は伸びません。
競合に打ち勝つためには、他店と比較されない「強いコース」を企画する必要があります。
この成功の鍵となる設計ステップは、次の3つです。
- 顧客視点でコース名と体験を設計
- オペレーションと原価の整合性を取る
- 10月中に告知を開始する
ステップ1: 顧客視点でのコース設計
現状、多くの店は
「食材の都合」
「過去の踏襲」
「オペレーションの制約」
といったお店側の視点でコースを決めています。
この「店の都合」から考えると、結果として毎年「同じようなコース」になってしまいます。
これを打破するため、まずはお客様(特に幹事)の視点に立ちましょう。
「どんなコースなら予約したいか?」
「幹事が社内で説明しやすいか?」
「参加者がワクワクするか?」
仕入れや原価は一切考えず、純粋にこの問いからコースの理想像を逆算してください。
コース名は「幹事の武器」
特に重要なのはコース名です。
「満腹コース」「松・竹・梅」「花コース」といったコース名は、単に店の管理の都合です。
お客様にとっては何の魅力も伝わりません。
「コースは、厨房ではなく幹事の口から始まる。」
幹事が社内や友人に予約したことを報告するとき、口頭で魅力が伝わる名前でなければ予約の確度が上がりません。
悪いコース名(店の都合) | 良いコース名(幹事の武器) | 顧客が受ける印象 |
花コース | 旬の上海蟹と和牛懐石コース | 「何が入ってるの?」→「美味しいそう!楽しみ!」 |
満腹コース | 朝採れ鮮魚と冬の味覚を堪能する全10品 | 「ただ量が多いの?」→「目玉料理が明確で魅力的」 |
コース名を変えただけで、予約の入り方は劇的に変わります。
まずは「幹事が言いたくなるコース名」を考えることから始めましょう。
ステップ2: オペレーションと原価への落とし込み
顧客視点で「強いコース名」と「魅力的な体験」を設計したら、次に「オペレーション」と「原価」といった現実的な制約に整合させていきます。
「オペレーションで無理と言う前に、顧客体験を先に設計する。」
プロである皆さんは、工夫次第で必ず解決できます。
- 前菜の盛り込み:事前に盛り込んでおき、オーダーが入る前に準備完了。
- 煮込み・蒸し物:当日慌てないよう、仕込みの段階で済ませておく(事前セット)。
- 提供動線:料理の順番や提供タイミングを設計し、ホールスタッフが混乱しない仕組みを構築。
大切なのは、「できない」と諦めるのではなく、
「どうすればこの魅力的なコースをスムーズに提供できるか?」
という発想で工夫を重ねることです。
原価についても、目玉となる「強い料理」に配分を集中させ、他で調整するなど、メリハリをつけた設計をしてください。
ただし、コース名が内容を上回る誇大広告にならないよう、提供品質とのバランスは厳しくチェックしてください。
ステップ3: 10月の実行スケジュール
忘年会商戦で先手を取るには、企画を練るだけでなく、実行のスピードが不可欠です。
10月は次のスケジュールで動きましょう。
期限の目安 | To Do(行動) | 目的・効果 |
10月10日 | 「強いコース名」3案を決定 | 顧客視点の設計を完了 |
10月20日 | 試作・試食会を実施 | 魅力的な体験を現実化 |
10月25日 | 料理撮影と告知準備 | 予約サイトやチラシの素材を確保 |
10月28日 | 告知開始 | 競合より早く市場にアピール |
「比較されない強さ」は、名前でつくります。そして、それを10月中に告知することで先手を打つことができます。
私からのお願いは一つです。
今週中に、幹事が思わず予約してしまうようなコース名を3案、必ず作ってくださいね。
それでは一日一改善で顔晴りましょう(^^♪