Sotogofunコラム
夏の赤字は天候のせい?
飲食店経営者・店長向け実務コラム
「暑いから客足が減る」「雨だから売上が落ちる」。こうした言葉は、飲食店現場でよく聞かれます。しかし、この考え方には危険な落とし穴があります。天候や季節のせいにすることで、本当の問題—つまり、あなたの営業形態そのものの脆弱性—から目を背けてしまうからです。
天候に左右される店は、経営設計のミス
同じ夏でも、繁盛している飲食店は繁盛しています。その差は何か。それは、季節変動を前提とした営業設計ができているかどうか、という一点です。
あなたの店が「夏に赤字に近い」のであれば、それは以下の構造的問題のいずれか(または複数)に該当している可能性が高いです。
ランチ依存の脆弱性
ランチで客数を稼いでいるが、低単価で原価率が高く、季節で数が減ると即赤字化する構造
席数に頼った営業
席数を満埋にすることで売上を確保している。気温上昇で外出控えが増えると、すぐに売上に跳ね返る
客単価の低さ
客単価が低いため、少ない客数で利益を出すことができない。数でカバーする営業が浸透している
スタッフ固定費の負担
夏のアルバイト確保が難しく、固定費は変わらないまま売上が下がり、利益圧迫が加速する
「季節に強い営業形態」への転換—3つの重点施策
では、夏の売上減少を構造的に解決するには、何をすべきか。重要なのは、「季節に関係なく利益を出せる営業形態に再設計する」という発想です。
施策1:客単価の最適化
ランチが赤字に近いのなら、ランチの提供をやめるか、大幅に価格を上げるか、もしくはランチメニューを限定するかのいずれかが必須です。「客数を稼ぐ」という発想は、夏場のような閑散期には機能しません。代わりに「1人あたりの利益」を最大化する設計に切り替えましょう。
例:ランチ850円(原価450円)から、ランチ1,200円(原価550円、利益650円)へシフト。客数が30%減少しても利益額は維持できます。
施策2:テイクアウト・デリバリーの強化
「暑いから外出できない」という消費者行動を逆手に取ります。テイクアウトやデリバリーは、来店客数に左右されない売上源になります。特に夏場は、この2つのチャネルが営業利益の担い手になる可能性があります。
例:デリバリー売上が営業売上の15~20%を占めるようになれば、来店客数減少の影響を大幅に軽減できます。
施策3:固定費の柔軟化
スタッフの固定費(社員給与)が夏場の売上減少に耐えられない構造なら、スタッフシフトを売上見込みに応じて機動的に調整する体制に転換しましょう。また、来客数が減少する時間帯(例:午後2~5時)の営業時間短縮も検討の対象になります。
例:夏場は営業時間を11:30~22:00に短縮し、スタッフシフトを20%削減。固定費削減と利益率向上が両立します。
今すぐ診断:あなたの店は季節に強いか、弱いか
以下の項目に当てはまる数を数えてください。当てはまるほど、季節に弱い営業形態です。
現場で使えるチェックポイント
- 売上の30%以上がランチから生まれている
- ランチの利益率が営業利益率より低い
- 夏場(6~8月)の売上が前年同月比で15%以上低下する傾向がある
- スタッフ給与(固定費)が売上の30%以上を占めている
- テイクアウト・デリバリー売上が営業売上の10%未満である
4項目以上に当てはまれば、営業形態の抜本的な見直しが急務です。
最後に:天候は言い訳ではなく、経営設計の試金石
繁盛店を視察して分かることの一つに、「季節変動を前提に営業設計がされている」という点があります。彼らは「夏は売上が減るもの」という前提から、それでも利益を出すための施策を常に講じています。
一方、赤字に陥る店は、常に「前年同期比」と「計画売上」の達成にのみ目を向け、現実の季節変動に対応する体制を持たないままです。
明日から、夏の営業形態を一度棚卸ししましょう。「なぜ赤字に近いのか」という問いに、「暑いから」以外の答えを3つ以上挙げられるようになれば、改善は始まります。
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