Sotogofunコラム
なぜ、飲食店がサービスを充実させるほど苦しくなっていくのか?
飲食店経営者・店長向け実務コラム
ランチタイムの真っ最中。
レジ前に並んだ客から
「紙エプロン、つけてもいいですか」 「薬味、多めでお願いできます?」 「この麺、少なめにしてくれませんか」
スタッフは笑顔で対応する。 もちろん追加料金なし。当たり前のサービスだと思っていました。
でも月次決算を見ると、来客数は増えているのに粗利率が落ちている。。。 なぜでしょう。
その正体は、サービスの「積み重ね」です。
一件一件は小さな対応。
でも、1日100食売れる店で、その30%が何らかのカスタマイズを求めると、月間で900件のオーダーメイド対応が発生します。
紙エプロンのコスト、薬味の原価、麺の歩留まり悪化。 スタッフの手間も増える。
結果、粗利率は2〜3ポイント下がる。 売上が増えても、残るお金は増えない現象が起きるわけです。
ここで大事な視点があります。
多くの飲食店経営者は「サービスを充実させれば、客単価が上がり、リピートが増える」と考えます。
それ自体は間違っていません。
ただ、その前に問うべき質問があります。
「そのサービスは、本当に客が求めているのか」 「それなしでは、客は来ないのか」
という問いです。
過去の記事で、恵方巻商戦の話を書きました。
値下げ競争に陥る店が多い中、選択肢を絞り込み、ごちそう感を演出することで、客単価と満足度の両方を上げた事例です。 同じ原理が、ここにも当てはまります。
「何をサービスするか」より「何をサービスしないか」を決める。
これが粗利を守る第一歩です。
例えば、紙エプロンについて考えてみましょう。 本当に全客に必要でしょうか?
例えば「麻婆豆腐を注文した客全員に提供」と明確にする。 そうすれば、スタッフの判断ブレがなくなり、原価計算も立ちます。
薬味や麺量はどうかでしょうか?
これは「商品設計」の問題です。
「薬味多め」が売りなら、それを標準にして、価格に含める。 「麺少なめ」の需要があるなら、「小盛りメニュー」として商品化する。
無料対応から、有料商品への転換です。
メニューブックを見直す際、情報量を増やそうとする店が多いですが、逆です。
「何を書かないか」を決めることで、客の選択ストレスが減り、満足度が上がります。
同じ原理で、サービスメニューも「シンプルさ」が武器になります。
では、明日からどうするか?
まず、この1週間で発生した「無料カスタマイズ対応」を全て書き出してください。
紙エプロン、薬味増減、麺量、汁加減、温度調整…何でもいい。
その中で「月10回以上出ている対応」を見つけます。
その対応について、3つの選択肢から1つを選んでください。
①「標準サービスに組み込む」(コストを商品原価に含める)
②「有料オプション化する」(+100円や+150円で商品化)
③「提供しない」(客の要望があっても、丁寧にお断りする)
この3択を、全スタッフと共有します。
すると、現場の対応がブレなくなり、原価も統制できるようになります。
7月は、多くの飲食店が夏場に向けた準備を始める時期です。
売上目標を立てるのと同時に、「どこまでサービスするか」の線引きを決めておくと、後半戦の利益管理がずっと楽になります。
サービスの充実は大事です。
でも、それは「経営が安定した上で」の話。
まずは粗利を守ること。
その上で、選ばれたサービスを磨く。
その順番を間違えない店が、秋以降もお店を継続できます。
詳しくはこちら
居抜き物件は初期費用削減に見えるが、プロの判断なしでは大きなリスクを抱える
値下げではなく、選択ストレスの軽減と『ごちそう感』の演出で客単価と満足度を同時に向上させる
集客施策の足し算ではなく、入店阻害要因を排除する引き算の思考で入店率を高める

