5月1日ですね。ついに5月に入り、ゴールデンウィークの本番を迎えました。明日からはさらに忙しくなるお店も多いと思います。自分も24年間、飲食店の現場にいましたので、この時期のピリピリした空気や、体力的にも精神的にもギリギリの中で踏ん張っている皆さんの気持ちが本当によく分かります。今日はそんな皆さんに寄り添い、共に歩んでいきたいという想いを込めて、自分たちの場所である「Sotogo fun」についてお話しします。
これからお話ししていくこと
今日は、飲食店で働く皆さんが、どうすればもっと笑顔で、もっと楽しく働き続けられるようになるのかということを、自分と一緒に考えていければと思っています。
最初にお伝えするのは、なぜ自分たちがこの「Sotogo fun」という場所を創ったのか、その想いと大切にしている考え方についてです。飲食店で働くことの本当の楽しさや、それを支えるために必要な「心の安心」についてお話しします。
そして記事の後半では、今日から、あるいは明日からの忙しい営業の中でも取り組める、具体的な改善のヒントをたくさん用意しました。 例えば、 「忙しい時こそ効果が出る、お店のファンを増やす接客のコツ」 「スタッフ皆で取り組む、無理のない収益の上げ方」 「自分たち自身の力で、お給料や待遇を良くしていくための考え方」 といった内容です。
特に後半部分は、皆さんの明日からの力になれるよう、具体例を挙げてじっくりとお伝えしていきます。今の目の前の忙しさを「ただこなすだけ」にするのではなく、それを「自分たちの未来を良くするためのチャンス」に変えていく。そんなきっかけになれば嬉しいなと思っています。
自分たちが目指す、飲食店で働く人のための場所
飲食店で働いていると、毎日が本当にイレギュラーの連続ですよね。予定通りにいかないことなんて当たり前で、急にお客さんが重なったり、困ったことが起きたり。そんな中で、ただ「言われたことだけをやる」という働き方だと、どうしても心が疲れてしまうことがあるのではないでしょうか。自分自身も、若い頃は目の前の業務をこなすだけで精一杯で、何のために働いているのか分からなくなってしまう時期がありました。
でも、飲食店には他の仕事にはない、素晴らしい魅力があるのも事実です。お客さんが目の前で「美味しい」と喜んでくれる、その笑顔に直接触れることができる。そんなやりがいに支えられて、自分はこの業界で24年間歩んできました。
自分たちが創った「Sotogo fun」は、飲食店で働くパートさん、アルバイトさん、社員さん、店長、そして経営者。その全ての人が、立場を超えて共に学び、成長できるコミュニティです。
なぜ、立場を超えて学ぶ必要があるのか。それは、お店を良くしていくためには、誰か一人が頑張るのではなく、全員が「自分たちの職場を自分たちの手でもっと良くしよう」という同じ視点を持つことが一番の近道だからです。
今の時代、経営者がただ「休まずに働け」「気合で乗り切れ」と言っているだけでは、お店は長続きしません。スタッフの皆さんが「ここで働けて良かった」「明日もまたこの店に来たい」と心から思える。そんな「心が安心できる環境」があって初めて、お客さんに最高の価値を届けることができるのです。
飲食店は「人」が商品そのものです。コンビニや冷凍食品でお腹を満たせる今の時代に、わざわざお店に足を運んでくれるお客さんは、料理の味はもちろんですが、そこで働く皆さんの活気や笑顔、気遣いといった「人間味のある体験」を求めています。
だからこそ、皆さんが笑顔でいられることが、お店の繁盛にとって一番大切なことなのです。自分はこのSotogo funを通じて、飲食業界で働く約400万人の方々が、自らの手で笑顔と、より良い待遇を掴み取っていけるような、そのための土台になりたいと考えています。
【実践編】明日からできる、笑顔と収益を創り出す工夫
さて、ここからはより具体的に、皆さんの現場ですぐに活かせる改善の考え方をお伝えしていきます。特にこのゴールデンウィークの忙しい時期、どうすれば「疲れ果てて終わり」ではなく「自分たちの価値を高める時間」にできるのか。いくつかの場面に分けてお話ししますね。

1. 忙しい今だからこそ取り組む「未来の仲間づくり」
冒頭でも少し触れましたが、明日からの数日間は、飲食店にとって一年で一番と言ってもいいほど忙しい時期です。この時、皆さんの頭の中は「いかにお客さんを待たせず、料理を提供するか」でいっぱいになっているかもしれません。もちろんそれはとても大切なことですが、もう一つだけ、考えてみてほしいことがあるのです。
それは、今目の前にいるお客さんの中に、「未来のスタッフ」がいるかもしれない、ということです。
あなたのお店が好きで、混んでいても文句を言わずに待ってくれて、運ばれてきた料理を本当に美味しそうに食べてくれる。そんなお客さんは、実はお店にとって一番のファンであり、一緒に働いてくれる可能性を秘めた人たちでもあります。
忙しい時に「人手が足りないな」と嘆くのではなく、その忙しい空間そのものを、お店の魅力を伝える「求人の場」にしてみてはどうかなと思います。
例えば、店内のトイレや、レジ横の目立つところに、手書きのメッセージを添えた求人の案内を貼ってみるのはどうでしょうか。その時、ただ「時給〇〇円、募集中」と書くのではなく、自分たちがどんな想いでお店を運営していて、ここで働くとどんな成長ができるのか、ということを伝えていくのです。
「学生スタッフの皆さんへ:ここでの接客経験は、きっと将来どんな仕事についても役に立つ力になります。自分たちと一緒に、お客さんを笑顔にする魔法を学んでみませんか?」
こんな風に、相手の未来にとってプラスになる価値を提示していくことが大切です。忙しいお店で活き活きと働く皆さんの姿を見て、「あ、ここで働いたら楽しそうだな」と感じてもらえる。これが最高の求人になります。今のうちに、LINE登録への案内などもセットで掲示しておけると、あとでお客さんと繋がることができて、より効果的だと思います。
2. 無理なく「客単価」を上げ、自分たちの待遇を良くする考え方
次に、皆さんの「お給料」や「待遇」を良くしていくために避けては通れない、お金の話をしましょう。自分たちがもっと良いお給料をもらえるようになるためには、お店の収益がしっかりと上がっている必要があります。でも、ただ単に「値上げをする」だけでは、お客さんは離れていってしまいますよね。
そこで自分たちが意識したいのは、「価値を伝えて、お客さんに喜んで選んでもらう」という工夫です。
例えば、メニューの書き方を少し変えるだけでも、大きな変化が生まれます。 「ハンバーグ 1,200円」 とだけ書かれているのと、 「じっくり3時間煮込んだ自家製デミグラスソースがたっぷり。お肉の旨みが溢れ出す、自分たち自慢のハンバーグ 1,200円」 と書かれているのでは、どちらを食べたいと感じるでしょうか。
後者のように、その料理に込められた「物語」や「こだわり」が伝わると、お客さんは「これなら1,200円を払う価値がある」と納得して、喜んで注文してくれます。
これは、ホールで接客をする皆さんにしかできない「最高の付加価値」でもあります。 「今日のこのお魚、さっき届いたばかりで本当に脂が乗っていて美味しいんですよ」 「このデザート、実は店長が試作を何度も重ねてやっと完成した自信作なんです。甘すぎなくてお薦めですよ」
こんな一言があるだけで、料理の価値はぐんと上がります。お客さんは「お薦めしてくれてありがとう」と感じて、満足度も上がります。その結果として注文が増え、客単価が上がり、お店に残る利益が増える。その増えた分を、皆さんの時給アップや、働きやすい環境を整えるための費用に充てていく。これが、自分たちが目指すべき「三方よし」の形かなと思っています。
自分たち自身の言葉でお客さんに魅力を伝える。これは「作業」ではなく、皆さんにしかできない「クリエイティブな仕事」なのです。
3. 「バケツの穴」を塞ぐ、チームのコミュニケーション
飲食店を運営していく上で、自分がいつもお話ししている「バケツの理論」というものがあります。お店を一つのバケツに見立てて、そこに新しいお客さんという「水」を入れていくのですが、バケツの底に穴が開いていたら、いくら水を入れてもどんどん漏れていってしまいます。
この「バケツの穴」の正体は、何でしょうか。それは、「接客のちょっとした不備」や「お店の雰囲気の悪さ」、そして「スタッフ同士の連携不足」です。
特に忙しい時期は、余裕がなくなって言葉が尖ってしまったり、指示が雑になったりしがちですよね。ベテランのスタッフさんが新人の子に対して「なんでこんなこともできないの!」と言ってしまう。そんな場面を自分もたくさん見てきました。でも、それをやってしまうと、新人の子は委縮してさらに動けなくなり、お店の雰囲気は一気に冷え込んでしまいます。その「冷めた空気」は、確実にお客さんにも伝わります。
これが、一番大きな「バケツの穴」になるのです。
笑顔で働き続けるために必要な「心の安心」とは、失敗しても責められない、分からないことをすぐに聞ける、そして自分の頑張りを誰かが見てくれていると感じられる環境のことです。
忙しい時にこそ、スタッフ同士で 「今のフォロー、助かったよ。ありがとう」 「さっきのお薦め、お客さん喜んでたね」 といったプラスの言葉を掛け合ってみてはどうかなと思います。
お互いを認め合う文化があると、スタッフの皆さんは「このチームのために、もう一歩頑張ろう」と思えるようになります。すると自然と、お客さんに対しても心のこもった対応ができるようになり、リピートしてくれるお客さんが増えていきます。
新しいお客さんを必死に集めるよりも、今来てくれているお客さんに「また来たい」と思ってもらうこと。そしてそのために、自分たちが一番の協力者として支え合うこと。これが、バケツの穴を塞ぎ、お店を安定して繁栄させるための、最も基本的で最も強力な方法なのです。
4. イレギュラーを「楽しむ」力と、ルールの見直し
飲食店にイレギュラーはつきものですが、その度にパニックになっていては、笑顔で働くことは難しいですよね。このイレギュラーに対応するための力は、単なる経験だけでなく、「仕組み」と「考え方」で補うことができます。
例えば、いつも特定の時間帯にオーダーが重なってパニックになるのであれば、それは皆さんの頑張りが足りないのではなく、メニューの構成やオペレーションの仕組みに無理があるのかもしれません。
そんな時は、スタッフ全員で知恵を出し合ってみるのがお薦めです。 「このサラダ、盛り付けに時間がかかりすぎるから、少し工程をシンプルにできないかな?」 「ドリンクを運ぶ時に、空いたお皿を下げるのを徹底するだけで、次の片付けが楽になるよね」
こんな小さな改善の積み重ねが、現場の負担を減らし、心の余裕を生みます。自分たちで考え、自分たちで決めたルールだからこそ、皆が納得して取り組むことができるのです。
また、店長や経営者の皆さんに意識してみてほしいのは、スタッフの「強み」を活かすことです。SNSが得意な子にはWebでの発信を任せてみる、掃除が好きな子には店内を磨き上げてもらう、お喋りが好きな子にはお薦め上手になってもらう。適材適所で「承認」を与え、自信を持ってもらうことで、チーム全体の生産性は驚くほど上がります。
皆さんが自分の得意なことでお店に貢献し、それを仲間やリーダーに認めてもらえる。そんな環境こそが、Sotogo funが目指す「自走する組織」の理想の姿です。
おわりに:自分たちの力で、飲食の未来を拓いていく
ここまで、自分自身の経験と、日々多くの飲食店と向き合う中で確信している、笑顔で働き続けるためのヒントをお伝えしてきました。
飲食店で働くことは、決して楽なことばかりではありません。体力も使うし、時には理不尽なことに直面することもあるかもしれません。でも、自分たちが提供しているのは、単なる食事ではなく、お客さんの「人生のひとときを彩る喜び」なのです。その誇りを、どうか忘れないでほしいと思います。
自分たちが自ら学び、考え、行動することで、お店はもっと良くなります。収益が上がり、自分たちの待遇が改善され、心にゆとりが生まれます。そのゆとりが、さらにお客さんの笑顔を創り出す。そんな幸せな循環を、自分はこの場所から全国に広げていきたいと考えています。
今はまだ小さなコミュニティですが、ここには志を同じくする仲間がたくさんいます。一人で悩む必要はありません。自分も、そしてここに集う仲間たちも、皆さんの挑戦を応援しています。
このゴールデンウィーク、目の前の忙しさを乗り越えた先にある、一回り成長した自分たちの姿を想像してみてください。明日からの営業が、皆さんにとって、そしてお店を訪れる全てのお客さんにとって、笑顔溢れる素敵な時間になることを心から願っています。
自分も、皆さんの「伴走者」として、これからも役立つ情報やノウハウを日々発信し、全力でサポートし続けていきます。
共に学び、共に成長し、大好きな飲食の世界を、もっと笑顔あふれる場所に変えていきましょう。
今日お話ししたことが、皆さんの明日の力に少しでもなれば幸いです。
ぜひ、皆さんの周りの仲間にも、この想いをシェアしていただけると嬉しいです。

